はじめに：若手離職率の隠れた原因は「育成不足」

多くの企業が「若手の離職率が高い」という問題に直面しています。年々増加傾向にある若手の離職は、組織の新陳代謝だけでなく、将来的なリーダー人材の不足を招く重大なリスクです。報酬や福利厚生を強化しているのになぜ辞めてしまうのか、疑問を抱える経営者や人事担当者は少なくありません。

【図1】若手離職率の原因構造

データで見る「育成」と「離職」の深い関係

当社の独自調査によれば、育成満足度が高い層と低い層で離職意向に明確な差が出ることが分かりました。

なお、フィードバック手法について学びを深めたい方は、あわせてこちらの記事をご覧いただくことをおすすめします。

なぜ育成が進まないのか？主な3つの障壁

企業が若手を十分に育成できない背景には、以下の3つの大きな障壁があります。これらを認識し対策を打たなければ、「成長したい」という欲求を抱えた若手は外へ流出し続けるでしょう。

1. 管理職の業務過多

多くの管理職は現場のプロジェクト進行や目標達成に追われ、部下育成のための時間を確保できない状況です。特にマネージャークラスになると、会議やクライアント対応が多く、育成プランを考える余裕がありません。

2. 育成ノウハウの欠如

“自分がやってきたこと”をそのまま伝えるだけでは、若手がスキルを身につけられないこともあります。個人プレーで成果を出してきた管理職ほど、体系的な育成手法を知らないケースが少なくありません。

3. 研修の一過性

人材育成は短期集中の集合研修で完結しません。座学や外部セミナーに参加しても、実践で活かす機会がないとせっかく学んだ知識は忘れ去られてしまいます。現場でのOJTや継続的なフィードバックが欠けているのが最大の問題です。

まとめ

若手の離職率を低下させるためには、給与や福利厚生の見直しだけでは不十分です。社員一人ひとりが成長を実感できる育成体制と、実務を通じてスキルを身につけられる環境こそが、長期的な定着と企業競争力向上の要となります。ぜひ、現場主導の実践型育成を導入し、若手が輝く組織を一緒に築き上げましょう。